2009年7月16日木曜日

マッサージと医療保険

「何故、保険マッサージは出張でしかやっていないのか?」

患者さんからこの様な質問を受けました。
設備が整った院内でマッサージを行えば施術の幅が広がりますし、患者さんにもメリットが多々あると思います。
私自身も来院での保険マッサージは大いに賛成です。
しかし、現実は上手くいかない物です。
治療家として、経営者として非常に答えづらい質問なのですが、この場ではっきりと回答します。

ズバリ、「マッサージの単価が安すぎる」からです。

一部の方は、この答えにがっかりするかも知れませんし、気を悪くされる方もいるかも知れません。
ですが、最後まで私の意見に耳を傾けていただければ幸いです。

既に鍼灸工房をご利用中の患者さんで、明細をご覧になっている方はご存じかと思いますが、
国の規定により、「マッサージは1部位@255円」という非常に安価な設定になっています。
つまり、膝が悪い患者さんが来院し、誠心誠意、粉骨砕身、30分の施術を行っても我々の報酬は255円にしかならないと言うことです。 (両膝の場合は2部位なので510円。)
缶ジュース2本分の報酬です。
あまり金銭のことは言いたくはないのですが、酷い扱いだと思います。
何年もかけて今の技術を身につけたと言うのに、その価値はたったの数百円です。
保険を取り扱う正当な治療院が少ないのも、うなずけますよね。
無論、民間資格のクイックのように5分、10分で途方もない数をこなし、いい加減な施術を行えば採算は取れるかもしれません。
ですが、私たちは国家資格を持っているプロの鍼灸あん摩マッサージ指圧師です。
責任を持って時間を取り、納得のいくまで治療を行うのは当然の事ではないでしょうか?

それに比べ、出張業務とした場合は往診料として、2kmで1860円がプラスされます。
非常に悔しい事ですが、往診料を頂かないと生活できないのが現状です。
色々な考え方を持っている先生方もいらっしゃるとは思いますが、
本来であれば逆の数値が妥当だと私は思っています。

今以上に鍼灸あん摩マッサージ指圧師の地位が向上し、
誰でも広く保険施術を受けられるよう、努力していきたいと思います。

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